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これまで性格的なものと考えられていたことが、実は社会不安障害(SAD)だった可能性がある、という。
例えば、結婚式でのスピーチなど大勢の人前で話す機会ごとに極度の緊張からのどが渇き、会話が出来なくなってしまう。あらたまった席で食事ができない、などこれは過去の経験の失敗などから一種のトラウマになり、そういう場面になると苦痛になってしまう。子どもの場合、ピアノの発表会で必ずミスをする。これがただ内向的なら弾くことに集中すればミスは防げるが、SADでは、治療が必要になる。
この判断は、社会不安障害治療の効果指標であるLSAS│Jが用いられる。これは、「人前で電話をかける」「少人数のグループ活動に参加する」など24の項目に「恐怖感/不安感」、「回避」の度合いを0〜3までで自己評価するスコアシート。その評価をもとに、心理教育や認知療法、薬物治療を用いる場合もある。これは選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)系の薬で、百件を超える症例を診ている東洋英和女学院大学の山田和夫教授によると、その中でもフルボキサミンの投与は有効で、いまのところ副作用の報告もない。「スピーチ恐怖」で受診したある男性は治療後、部下の結婚式で無事スピーチをこなし、「人生が変わった」という。
山田教授によると、小中学生頃に「他人を意識する」「かっこよくしていたい」「他人の視線を意識する」「自意識過剰」「恥をかいてはいけない」などから発症、そのまま大人になっている例が多く、いわゆるニートの多くは、社会不安障害回避型に当てはまるという。ただ、精神科医師の間でもSADはまだ認知度が高くない。
【2006年2月18日号】