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件数も増加し、深刻化する児童虐待の問題だが、(社)全国私立保育園連盟は、保育園が家庭での児童虐待を発見しているケースが、どれぐらいあるか把握するため連盟に加盟している園を対象にアンケート調査を実施した。1018件のアンケートを送り回答があったのは623件。
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■母親の虐待目立つ
調査実施期間は今年の2月8日から28日。それによると保護者等からの児童虐待が見られたケースは、平成15年度は全体の16.5%にあたる103園、平成16年度は全体の19.1%にあたる119件となり、全体の約2割の園で、家庭での虐待が見られたという結果となり、平成16年度になって、やや増加している。
家庭での児童虐待があったと回答した園に対して、それを何によって判断したか複数回答で聞いたところ、子どもの状態等から保育所が判断したケースが圧倒的に多く、全体の73.3%。次いで児童相談所からの情報が26.0%、保護者自身の訴え.相談が22.7%となっている。
虐待の種類は、平成15年度は身体的なものが最も多く54.4%、次いで子育てを放棄しているネグレクトの47.6%だったが、平成16年度になると身体的な虐待の48.7%を抜いて、ネグレクトが49.6%でトップとなった。そして、虐待者となっているのは実母が最も多く、平成16年度で73.1%、実父は31.1%であった。
そうした虐待のケースに対して、職員間で取った対応としては、「外部の関係機関と連携.連絡をとる」が最も多く93.3%、次いで「保育園内で話し合う」の65.3%(複数回答)。虐待を解決するために連携.連絡を取った外部の機関で最も多かったのは、児童相談所(105園、75.0%)で、次いで保健所.保健センター(60園、42.9%)、福祉事務所(55園、39.3%)の順となっている。
児童虐待のケースで、子どもや親に対して、保育園が取った対応で最も多かったのが、「子どもの様子(傷など)を観察した」(126園、84.0%)、次いで「送迎の際に親とよく話をするようにした」(111園、74.0%)、「特別に時間をとって親の話を聞いた」(94園、62.7%)、「連絡帳を作り家庭とよく連絡をとるようにした」(52園、34.7%)という順になる。こうした対応を取ったことで親子関係は改善したという回答が半数以上となる56.0%となったが、親子関係に変化はなかったという回答も29.3%に上った。改善が見られた具体的な点については、「身体に傷をつくってこなくなった」、「園に援助やアドバイスを求める」、「子どもの問題行動が減った」、「親が自分の感情や衝動を守れる」といった内容が多くなっている。
虐待防止に向けた保育園の取り組みは、「着替えなどのときに身体的な傷等について注意をはらっている」「登降園時の保護者・子どもの様子をよく見るようにしている」「保育時間中の子どもの様子に注意をはらっている」といった回答が約9割となっている。
【2005年8月20日号】