農林水産省によると、日本のカロリーベースの食料自給率は、昭和40年度の73%から50年度には54%、その後、平成10年度から6年連続で40%の横ばいで現在に及んでいるという。
2002年の主な先進国におけるカロリーベースの総合食料自給率を比較すると、〈
農水省公開データ:図3〉にあるように、日本の食料自給率は最低水準であることがわかる。また、同年の世界173の国・地域の穀物自給率を試算すると、日本は124位、先進国の集まりであるOECD加盟国の中では、30カ国中27位で、アイスランド、オランダに次ぐ低さ、さらに人口1億人を超える国の中では最下位となっている。
昭和40年度からの日本の食料自給率の低下の原因は、都市化の進行等に伴い農地面積600万ヘクタールから474ヘクタールへと減少とともに裏作を行わないなど農地利用率が124%から94%に低下したことがあげられるが、こうした農業面だけでなく、消費面も影響している。
その主な原因は、日本人の食生活が大きく変化したことにある。国民一人あたりの食料供給量や栄養量を把握するために昭和35年から同省が作成している食料需給表のデータによると、日本人の食事は総供給熱量がほぼ横ばいで推移してきた中で、内容もカロリーベースで見た場合、消費する食料の5割以上が米、畜産物、油脂類の3品目で賄われている状況には大きな変化がないが、これらの品目内での構成比が大きく変化をしている。所得の増加、食生活の多様化という変化の中で、食料消費に占める3品目の構成比は、〈
農水省公開データ:図6〉にある通り。
消費が増加した畜産物や油脂類を生産するためには、大量の飼料穀物や油糧原料(大豆、なたね等)が必要となるが、日本の農業生産は人口に比べ農地が狭いなどという国土条件上の不利がある。そのため、大量の飼料穀物や油糧原料を輸入しており、畜産物、油脂類の品目別カロリー自給率は低い。
このように日本の食生活が豊かになった一方で、日本の農業生産だけでは対応できなくなり、飼料穀物や油糧原料、さらに食料自体の輸入が増加したため、食料自給率は低下してきた、という。
【2005年1月15日号】