教育家庭新聞・健康号
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肌着の「知識」の浸透を
肌着から受ける影響は大
「子どもの肌着」を考える
PTAセミナーを開催−東京都・光和小学校にて


 2月2日、小学校3年生以上の保護者対象の「ジュニアの肌着セミナー」が、東京都練馬区立光和小学校の視聴覚教室において開催された。今回のセミナーは、教育家庭新聞主催・養護教諭対象の「下着セミナー」に参加した同校の養護教諭・宮本裕子先生が「PTAにもジュニアの下着について、ぜひ話を伝えたい」と考えPTA役員の方に紹介、実現したもの。講師は、グンゼ(株)快適工房の御手洗幸子氏。当日は60名以上の保護者が参加し、下着とジュニアブラジャーの選び方についての話に耳を傾けた。講演する御手洗幸子氏
   講演する御手洗幸子氏

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 光和小学校・寺崎千秋校長はセミナーに先立ち、「今は賢く子どもを育てている家庭、中身の教育が抜けている家庭、両極端な状態であると感じている。子どもの賢い育て方の原点になるのが衣・食・住だ。今回のセミナーは、このうち『衣』をテーマとしたもの。子どもに『勉強しなさい』と言いながら、ファッション性は豊かでも、健やかに勉強に集中できる状態にして子どもを学校に送り込んでいない家庭もみられる。

 肌着は外からは見えない部分であるが、肌にじかに触れている、大変重要なもの。安全性、保湿性など、気になる面はたくさんある。このような機会で学び、大人が賢くなることは大変意義のあること。勉強に集中できる服装や肌着を与えているかどうか、保護者同士、また親子でも考えるきっかけにしてほしい」と述べた。

■「快適工房」で生理学に基づき
  肌着を研究

 グンゼは、よりよい製品づくりのために、肌着の生理人類学的な研究・開発が必要と考え、業界に先がけて肌着の生理学研究所「快適工房」を設立、最新の科学の目を通して研究を重ねている。その結果、「やわらかい・しめつけない・むれにくい」という3つの快適性が肌着には必要であるという結論に達した。

 講師の御手洗氏は「肌着の知識は、まだ一般に浸透していません。身体が快適と感じる肌着はどのようなものか、肌着がどのような影響を身体に与えているのか、保護者の方にもぜひ知識として身に付けてほしい」と、プロジェクターで資料や研究成果を具体的に提示した。


■「やわらか肌着」で集中力・免疫力アップ
 やわらかいこと、しめつけないこと、むれにくいこと。この3点が肌着選択の大切なポイントだ。1つでも要素が欠けると、身体に見えないストレスを与える。特に成長過程にあるジュニアは、大人以上にインナーから受ける影響が大きいので、配慮が必要だ。多少ごわごわしていても着ているうちに気にならなくなるものだが、肌への不快な刺激は与えられ続けており、気づかぬうちにストレスを感じている。そのストレスが集中力の欠如や、身体機能の低下につながるという研究結果が出ている。

 「やわらかい肌着を着用しているときと、かたい肌着を着用しているときでは、想像以上に集中力に違いが出るという結果は、研究者にとっても意外でした」。

 また、窮屈な肌着や洗濯を重ねて吸汗性の衰えた肌着もストレスの元となる。「Tシャツを下着がわりに使う家庭も多いのですが、ある程度フィットしたものでないと、しっかり汗が吸えません。汗そのものは匂いませんが、肌に残っていると匂いに変わっていきます。衛生面からいっても肌着で汗を吸わせることが必要なのです」。

 寒い部屋に入ったときは鳥肌が出るものだが、やわらかい肌着を着用していると、体温は一旦上がってから下がるが、かたい肌着の際は、ほとんど上がらず下がり続けるという結果が出ている。ジュニア下着を手に取って

 中学生になると、セーラ服や学生服、カッターシャツを着用するようになるが、いずれも吸汗性が極めて低いため、肌に汗が残り、匂いの元となる。匂いの防止のためにも、肌着の着用が必要。

 肌着の劣化は、洗濯が5回のものと80回のものとでは、繊維のつまり具合が全く違う。漂白剤の使用も、気を付けなければならないポイントだ。きつい漂白剤だと、白くはなるが、繊維の劣化が激しい。漂白剤を使うなら、濃度や時間はきちんと守って。

 「触覚は最も本能的な器官ですので、子どものほうが敏感に影響を受けます。幼稚園の4、5歳児に一般的な肌着とやわらかい肌着を着用させた実験では、明らかにやわらかい肌着を着ているほうがストレスホルモンの値が少ないという結果が出ています」。

 ストレスがたまると免疫力が低下するため、子どもの健康を配慮するなら、やわらかい肌着の着用が必要だ。


■ジュニア・ブラ選択のポイントは3つ
 女性のブラジャーは男性下着に比べ、肩や脇の圧力が大きい。この圧力は素材にストレッチ性を持たせ、やわらかいものにすることでほぼ緩和される。これはジュニアの場合でも一緒だ。窮屈なブラジャーは身体にストレスを与え、体温調節機能や自立神経系に影響を与えてしまう。

 調査結果によると、10歳で6割、11歳で8割の女子に専用下着が必要だ。学校では、月経の教育はされているが、ブラジャーの選び方や付け方、時期などの指導は、これまであまり行われてこなかった。しかし、胸の発育は月経より早い。

 「ブラを付けるということは、周りにわかってしまう変化。中にはそのことに激しく抵抗を感じる女の子もいますから、ブラをつけることが普通の状態だ、という意識にもっていくことが大人の役目です」

 ジュニアの胸は、「トップ位置が高い・乳間が広い・わきにボリュームがある」のが特徴だ。大人のブラジャーは、この時期の胸に合わなくて当然といえる。女性ホルモンは脇の血管を通して乳腺に流れているので、身体に合わないブラは、ジュニアにとって、発育を阻害する恐れもある。胸の土台がふくらみ始める頃には、やわらかく包み込むようなブラの機能が必要となる。

 「発育初期のジュニアの胸は脂肪がないので当たると痛いのです。快適工房では、胸の発育を保護しながら身体にストレスを与えない商品を開発しました。かなりやわらかくできています。洗濯を重ねても、風合いがそれほど変わらない素材を使用しています」

 肩ひもの伸縮性も重要ポイントになる。肩ひもの伸縮性の違いで、安定感が全く違うからだ。
 「ジュニアにはスポーツブラが人気なのですが、やはりある程度大きくなると、もともとAカップサイズ主流のスポーツブラでは、不安定です。バージスライン(バストの付け根部分)できちんと支える必要がありますので、ノンワイヤーブラが必要です。この時期には、つけ方も大切。してはいけないのは、ホックを付けたまま上からかぶること、前でホックを止めて後ろに回すこと。長い期間そのようなつけ方をしていると、バージスラインが黒ずんだり、本来のバストの形の崩れにもつながります」

 御手洗氏が実際に正しいブラの付け方を披露、前屈みになって肩ひもをかけ、バージスラインに固定し、ホックをつけた後、カップにバストを入れる、という手順を実演した。付けた後は、動いてもずり上がらないか、背中が安定しているかをチェックする。

 「少し前傾して付けるだけで、カップにバストがきれいに入ります。最初が肝心ですので、練習は必要です。後ろに手を回してホックを掛けることがジュニアには難しいので、ジュニア用のブラはボタン式ホックになっています。また、人気のあるスポーツブラの形に似せたノンワイヤーブラは、学校につけていきやすい商品です」。

 バストは高校生位まで成長が続くので、ワイヤーブラもジュニア用が望ましい。脇の方からボリュームがあるジュニアのバストには、寄せる力が強い大人用のブラは負担が大きい。

 ピエクレールのジュニア用のブラは、ワイヤーの幅が、大人用に比べ広く、カーブも穏やかになっている。
 ワイヤーブラの場合、洗濯にも注意が必要だ。「ワイヤーが変形するとブラの意味がありません。ネットに入れての洗濯をお勧めしています」


■参加者から質問も

 セミナー終了後、保護者からは多数の質問。

 「やわらかい肌着が体に良いということは、柔軟剤を使ったほうが良いのか」という質問には「柔軟剤は表面をやわらかくしますが、吸汗性が落ちる場合もあるので、柔軟剤に頼る前に、肌着そのものがやわらかいものを選んでほしい」と回答。また、「どんな素材が肌にとって良いのか」という質問には「合成繊維は見た目はやわらかいが、一本一本の当たりはかたいものが多く、肌に与える刺激は綿に比べると大きい」とのこと。
 4年の男の子のお母さんからは「トランクスは何歳からが適当なのか」という質問が出た。参加者達からは、年齢は特に決まってはおらず、サイズさえ合えば大丈夫だという声があがった。
話に聞き入る参加者たち
  話に聞き入る参加者たち


【2004年2月21日号】


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