運動能力依然低下傾向に


 基礎運動能力の低下傾向に歯止めかからず…。文部科学省がさきごろ発表した平成13年度の「体力・運動能力調査報告書」によると、青少年の「走る」「跳ぶ」「投げる」などの基礎運動能力が、男女かかわらず多くの年代層で低下傾向が続いていることが判明した。また「運動・スポーツをほとんど毎日(週3回以上)行っている」という数字も低く、10歳女子にいたっては31・5%と、その親の世代が小学生だった、昭和46年(30年前)の73・1%の半分以下という数字だった。


6〜17歳の低下著しく
 同調査は「国民の体力・運動能力の現状を明らかにする」(同省)ことを目的に、東京オリンピックが開催された昭和39年から毎年実施されているもの。今回は6〜79歳の男女7万4194人を対象に、昨年5〜10月にかけて全国で実施した。回収率は96・8%だった。

 テスト項目については全年齢共通が「握力」「上体起こし」「長座体前屈」の3つ。
小学生から大学生まではこれに「反復横跳び」「20メートル往復持久走(中学生以上は男子が1500メートル、女子が1000メートルの持久走との選択制)」「50メートル走」「立ち幅跳び」「ソフトボール投げ(中学生以上はハンドボール投げ)」が加わり、20〜64歳は「反復横跳び」「立ち幅跳び」と「急歩」か「20メートル反復持久走」のどちらかを選択、65〜79歳については「日常生活活動テスト」「開眼片足立ち」「10メートル障害物歩行」「6分間歩行」を実施した。
 特に6〜17歳で体力の低下は著しく、今回は「50メートル走」で7歳男女、9歳男女、10歳と11歳男子が、「ソフトボール、ハンドボール投げ」で6歳女子、15〜17歳女子が、「立ち幅跳び」で6歳男女、7歳女子、8歳と9歳の男女が、「持久走」で12歳女子、13歳と14歳男子、15歳男女、16歳男子がそれぞれ過去最低記録を更新してしまった。

 親の世代(昭和46年度)との比較でも運動能力の低下は明らかで、例えば「50メートル走」では10歳男子が9・10秒〜9・37秒(前が昭和46年度、後が平成13年度=以下同様)、10歳女子が9・43秒〜9・59秒、11歳男子が8・80秒8・96秒、11歳女子が9・10秒〜9・25秒。「ソフトボール投げ」でも10歳男子が30・77メートル〜26・40メートル、10歳女子が17・43メートル〜15・05メートル、11歳男子が34・93メートル〜30・19メートル、11歳女子が20・77メートル〜17・15メートルといずれも記録の低下が見てとれる。

 「運動・スポーツをほとんど毎日(週3回以上)行っている」という児童の割合も、30年前と比べると大きく減少し10歳男子は73・5%〜53・6%、11歳男子76・1%〜57・0%、10歳女子73・1%〜31・5%、11歳女子70・1%〜33・9%という数字。特に女子の減少率は大幅で、10歳女子では半分以下になっているのがわかる。

(2002年11月9日号より)


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