栄養教諭の創設へ向けて
全国学校栄養職員大会報告
食の指導に期待高まる
「生きる力・をはぐくむ健康教育の推進と学校給食の充実」を主題に、第43会全国学校栄養職員研究大会が7月30・31日、岩手・盛岡市内で開催され、学校栄養職員ら約1500人が参加した。文部科学省、(社)全国学校栄養士協議会他主催。子どもたちに正しい食習慣の形成が強く求められるとともに、食の指導に果たす学校栄養士への期待の高まりを反映し、熱気に満ちた大会となった。
初日に県民会館大ホールで開催された全体会・開会式のあいさつで小林町子・全学栄会長は、一日も早い栄養教諭の創設を求めて「給食の献立は生きた教材そのもの、その作成に全力を挙げて取り組む。児童生徒の健康づくりのため、食の指導実践を積み重ね、一歩ずつ努力してまいります」と力強く宣言した。
続いて文部科学省スポーツ青少年局の徳重眞光・主任体育官から「健康教育の現状と学校栄養職員の役割」と題して、栄養教諭創設の検討状況などについて説明。教育行政の地方分権化推進の一方で、徳重氏は現状の学校栄養職員の国庫負担は維持する方針だと明言。不正表示やBSE問題など食の安全性・信頼が揺らぐ中、学校給食への保護者からの要望はますます多様化、その責任と期待の重さを強調した。
栄養教諭の創設に向けては、「スポーツ健康手帳」の配布とともに中教審の中間まとめが「知力・気力とともに生活習慣全体を通した体力の増進」を提言していることを紹介。食の指導について行った13年度実態調査では、「担任とのTT」が26・8%で対前年比微増、「特別非常勤講師として単独で指導」が5・7%(同)、「何らかの指導」が37・7%(6%増)、「栄養相談・個別指導など」が9・6%などの結果だった。
今後の栄養指導の課題として1子どもの年齢に応じた指導のあり方2集団指導と個に応じた指導のあり方などへの栄養士個々の資質向上、3校内の他の教職員や学校医など地域との連携による家庭に対する指導のあり方などをあげた。
これらの課題について栄養教諭は「食のコーディネーター」としての役割も担うと説明。現在の学校栄養職員がそのまま栄養教諭にスライドすると考えるのではなく、免許状や養成課程など新たな仕組みづくりを検討していると延べた。
鮭を使った実践発表も
大会初日の午後からは「豊ぎょうな大地 未来を見つめる 江刺の学校給食」と題して、岩手県江刺市立学校給食センター学校栄養職員・藤枝桂子さんと、同金ケ崎町立学校給食センター学校栄養職員・清水美和さんの、実践発表が行われた。
県内産の食材で国内でも有数の三陸産サケを献立に取り入れた「鮭の日」給食、同じく地場産物である江刺牛や豊富な山野菜を使った意欲的な献立づくりの実践が紹介された。この実践によって地域の生産者と子どもたちが、学校給食を通じて結ばれた。さらに食材を通じた地域の食文化を知るなどの「生きた教材としての献立づくり」になったと言う。
平成12年度からは1人加配により栄養職員が3人体制になったことによる、小学校12校・中学校4校全校への食に関する指導体制が確立。その成果として小6を対象に、栄養バランスのとれた食事をとることを目標にした「リクエスト献立」も定着。自分たちが考えた献立が実際の学校給食メニューになるもので、下級生たちも期待と関心を寄せている。栄養に関する様々な食品の働きと、主食・主菜・副菜の組み合わせを知ることで、子どもたちは毎日の自分たちの食生活と生活習慣にも関心を持つようになったという。
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