全国養護教諭大会特集
 保健室の健康相談活動2

スクールカウンセラーと連携を
  心の側面ばかりみることは問題

発表校実践
 東京・足立区立平野小学校  津布久幸恵先生

東京都足立区立平野小学校では教育相談活動と健康相談活動を連携させ、校内全体で子どもの問題について対応する徹底した体制作りが行われている。配慮の必要がある子や、保健室登校の子どもなどに対し、どう対応していくか共通の理解が図られている。
 保健室で行われている健康相談活動の内容については週に一度、全職員へ報告が行われ、養護教諭一人で問題を抱え込まず、必ず他の教職員との共通理解を図るよう努められている。校内研修会を定期的に開き、配慮を必要とする子どもに対して全職員が統一の態度や言葉で接するなど対策が講じられている。
 
 □保健室での対応
 
 1日の保健室利用者は平均40名程度。多い時は80名を超す日もあるという。「お腹が痛い」「頭が痛い」と体の不調を訴えて保健室を訪れた子ども達に対し、熱を計るなど体へのケアだけでなく、必ず食生活や睡眠について尋ねコミュニケーションをとりながら原因を探ることも欠かさない。
 また保健室登校児に対しては、かならず「あなたはどうしたいですか」と子どもの意思を聞くように心がけている。「保健室にいるのが当たり前と思わせないためにも、その都度子どもと話し合い、意思を確認して行動をとらせています」と養護教諭の津布久幸恵先生。
 保護者からの相談も多く、日に10件以上訪れることも。「核家族化が進み、若年層の親が多いこともあって、相談する相手を学校に求めていると思います」(津布久先生)。最近では生活面でいろいろな問題を抱えている家庭も増えているという。
 保健室が入り口になり、子どもや保護者とのコミュニケーションを図る中で他の専門機関との連携が必要と判断した場合は、校内で検討し、すぐに連絡をとる。同校にスクールカウンセラーが配置されていないので、近隣の中学校のカウンセラーと連絡を取り合うこともあるという。同校では虐待や深刻な問題行動児の場合、児童相談所と連携をとることも少なくないとのこと。
 
 □保健学習に参画
 
 保健室内での対応だけでなく津布久先生は授業へも積極的に参画している。保健や総合的な学習の時間に、担任や学校栄養職員とのT・Tや単独での授業などさまざまな形で年に1クラス平均4時間を担当。
 「夏を健康に過ごそう」をテーマにした保健の授業では学校栄養職員とのT・Tを行い、運動や食事の大切さについて養護教諭が、飲み物の糖分など栄養的な部分を学校栄養職員が担当するなど積極的な健康教育が行われている。



(2002年8月10日号より)