お米づくりに挑戦しよう
CD-ROMを活用した米の学習実践事例



 今年度はじめ、全国農業協同組合中央会(JA全中)より稲作文化体験学習ソフトCD−ROM「お米づくりに挑戦しよう」が全国の小学校へ配布された。小学校5年生を主な対象とし、米に関する様々なデータが収録された充実したソフトだが、学校現場ではどのように活用されているのか。今回は山形県小国町立白沼小中学校と、沖縄県南風原町立南風原小学校の実践を紹介する。

● 山形・小国町立白沼小中学校
 山形県西置賜郡小国町は総人口約1万人の小さな山村です。本校は町の中心部から少し離れた東部に位置しており、児童数22名、生徒数5名、全校で27名の小規模校です。自然環境に恵まれていますが、耕地面積は少ない僻地です。
 
【米をテーマにした授業】

 5年社会科のほか、5、6年が総合的な学習の時間に約70時間を設定して米作りを行いました。近隣の農家から田んぼを借り、まずは肥料撒き、田おこし、水路作り、そして田植え、草取り、収穫、さらに脱穀、精米まで一連の作業を1年間かけて行いました。
 さらに害虫や世界の米料理、米の病気など1人ずつテーマを決めて調べ学習を実施し、学習の成果をパワーポイントを使って地域の人々に発表する機会も設けました。
 精米された60キログラムのうるち米を・食べる・機会としては、本校では牛乳給食しか行っていないため、子どもたちが地域の感謝祭に参加した際におだんごにしてお汁粉を作り、地域の方と一緒に食べました。また米を袋に詰めて、創立記念式の日に祝い品として各家庭に持ち帰るなどしました。
 
【CD−ROMの活用】

 このCD−ROM「お米づくりに挑戦しよう」は、5年社会科で単元の終末に1時間利用しました。教科書で学んだことを復習する意味で、「お米博覧会」のページでクイズに挑戦してみたり、「田んぼでGO!」のページで稲が育つ様子を見たり、ソフトの中のページを探検しました。
 本校の5年生は2人しかおりませんので、私と3人で1台のパソコンを使っていろいろと話ながら楽しく進めていきました。
 授業としては数時間しか使用しませんでしたが、パソコン教室に常時置いてあるので、休み時間は子どもたちが調べたい時など自由に使えるようにしています。
 
【感想】

 子どもたちは米作りを実際に体験していることから、稲の成長過程や米作りの方法についてはよく理解していますが、学校の周りの小規模な米作りしか知らないので、今回のソフトを使って他の地域の大規模な米作りの様子や、日本の農業について知ることができ、子どもたちの視野が広がったと思います。授業と関連付けて学べる内容なので、復習の意味でも視野を広げるという意味でも大変役に立つソフトです。



●沖縄県南風原町立南風原小学校
 本校は創立121年目を迎える町内では1番古い学校です。全校児童数は638名、各学年3クラスです。南風原町は、那覇市に隣接するベッドタウン的な町で、沖縄では珍しく周りを海に面していない市町村の一つです。学校は町の中心に位置し、国道沿いに発達した商業地域が近くにあり、中学校、町役場、町文化センター、中央公民館等の公共施設も本校に隣接しています。有名なひめゆりの塔の映画の舞台となった南風原陸軍病院壕の元となった病院の跡地でもあり、映画のロケも学校の近くの裏山で撮影されました。南風原町は、絣の里、カボチャの里といった持ちキャッチフレーズを持ち、伝統的な特産物や伝統工芸品等もあります。
 
【米をテーマにした授業】

 沖縄本島では米作りはほとんど見ることができません。(沖縄で行われているのは北部地域のほんの一部と離島の一部、八重山諸島)ですので同校の子どもたちは実際に田んぼを見たことがないようです。しかし、社会科の教科書の最初の単元に米作りがでてきます。そこで、少しでも実体験をさせるつもりで、理科で水の働きを調べる少し大きめの3畳ほどのコンクリート製の水槽に土を入れ、そこに種籾を植えさえ、学級として米作りを体験させました。また、JAからバケツ稲づくりセットを頂き、一人ずつ家庭で保護者と一緒に米作りを行ってもらいました。(父兄もほとんどの方が田んぼを知りません)
 そしてその体験も含め、学習を進めました。
 授業は問題解決学習の方法をとり、原産はあたたかい地方である米が、どうして現在東北地方や、北陸地方、北海道のような寒い地方で多く収穫されるのかというテーマのもとに学習を進め、子どもたちは図書資料や教科書資料等を利用してその答えを見つけ発表するという学習を進めました。
 
【CD−ROMの活用】

 授業のまとめ段階で使用させて頂きました。問題形式でソフトが作られていたので、大変楽しく学習することができました。子どもたち自身は、自分の調べていないことが問題として出ていたので、大変興味深く学習をしていました。そして最後に成績が出るところでは、友達通し比べあい、歓声を上げていました。
 
【子どもたちの反応】

 大変喜んでいました。それは1つにはクイズ形式であったこと、2つ目には途中でマウス操作の問題などお米だけではない問題や、工夫が随所に盛り込まれていたからだと思います。また、映像等も豊富に盛り込まれ、大人が見ていても勉強になりました。また、最後に農家としての評価がでるのは本当に素晴らしいと感じました。

【感想】

 感想は素晴らしいの一言につきます。問題点としては、当時自分たちの学校のコンピュータが古く、ソフトが動かなかったので、自分の個人用のコンピュータを学校に持っていきプレゼンの形で子どもたちと学習したため、操作は一部の子しかできませんでした。やれなかった子からは、ブーイングでした。今年度の2学期に新しいコンピュータが本校に導入されたので、来年度も活用していきたいと思います。




(2002年3月16日号より)