思春期を迎えた女の子たちの下着に対する意識調査



 昨年4月に行った「思春期の子どもの下着に関する意識調査」を今年も引き続き実施。小学5年生から中学2年生までの女子600人を対象に、下着への興味の度合いや、下着に関する情報源、疑問や悩みから、ブラジャー着用率、着けるきっかけ等についてアンケートを実施した。また今回はじめて、東京都内の中学校養護教諭100人と、小学5年生から中学2年生の子どもを持つ保護者への意識調査も行った。


子ども結果

■興味・関心
 下着への興味は、「ある」「とてもある」が全体の47%を占め、ほぼ半数の子どもたちが興味を持っていることがわかったが、調査対象が小学校5年生から中学2年生と自分で買いに行く年齢ではないせいか「ない」が13%、「あまりない」が40%と半数以上が興味を示していない。
 学年別にみると、小学生の半数が「あまりない」と答えているのに対し、中学生になると「ある」「とてもある」が合わせて6割と、年齢にあわせて下着への興味関心が高まっている。

■情報収集
 下着に関する情報源としては「友達」48・5%、「雑誌」43・0%、「母親」36・0%の順で多く、「学校」はわずか5・5%。学年別に見ると、年齢が上がるにつれて「雑誌」を情報源とする子どもが増え中学2年生では約6割。反対に「母親」の割合が減り、小学5年生で5割だったのが中学2年生では2割に減少している。また「その他」の自由記述では、「お店で」「スーパーで」「姉」など。

■下着について誰と話す?
 友達同士で下着の会話をすることが「よくある」と答えている子は12%、「ある」36%と合わせて約半数であり、母親とは「よくある」6%、「ある」35%と約4割、先生とは「よくある」「ある」を合わせてわずか2%で、「あまりない」「ない」が9割以上を占めた。下着に関しては学校を情報源としておらず、教師への相談もほとんどされていない。

■下着の購入
 下着を一緒に買いに行くのは各学年とも「母親と」が最も多く5年生の9割、中学2年生でも5割が回答。学年があがるにつれて「自分一人で」「友達と」の割合が増加するが、それぞれ中学2年生で2割ずつ。購入場所は「スーパー」、「デパート」、「小売店」と対人販売が8割を占め、通信販売が2割。

■疑問・悩み
 小学生では「いつから着け始めたらいいのか」「胸が何センチになったら着けるのか」という着け始めの時期についてわからないといった内容が目立ち、特に6年生では「中学生になったら着けた方がいいのか」「友達が着け始めたから早く着けたい」といった声も。また「ブラジャーの種類はいくつあるのか」「みんなはどんなブラジャーしてるんだろう」とブラジャー自体への関心が寄せられた。
 中学生になると、「ブラジャーのサイズが合っているのかわからない」「自分のサイズを知らない」「うまいホックの着けかた」「選び方がわからない」とサイズや選び方、付け方への質問が増える。また「苦しくないブラジャーがしたい」「紐がすぐに落ちてくるので困る」といった不満も。中学2年生になると、ワイヤーブラジャーへの質問が増えるようになり、「普通のブラジャーよりも形がよくなるって本当?」と胸の形を気にする子も。また下着のデザインへの関心も高くなっている。
 はじめてのブラジャー。聞きたくても恥ずかしくて聞けない、自分のサイズについて、着け始める時期について子どもたちに正しい知識の普及が求められる。


下着選びはデザイン重視

■ブラジャー着用率
 ブラジャーを着けている子は、5年生10%、6年生58%、中学1年生86%、中学2年生94%。
 着け始めの時期については小学5年生から中学1年生にかけて増えている。「小学5年生から」が30・6%、「小学6年生から」が33・9%、「中学1年生から」が25・8%、小学4年生、中学2年生はそれぞれ約5%。
 着けているブラジャーの種類はスポーツブラ66・1%、ノンワイヤーブラ51・6%、ワイヤーブラ22・6%。またブラジャーの上にタンクトップかキャミソールを重ね着している子は全体の約半数。残りの半数の子どもはブラジャーの上から直接洋服を着ているようである。

■きっかけ
 着けはじめのきっかけについては「胸がふくらみ始めたので」「走ってる時に邪魔だったから」「揺れると痛いので」という回答とともに「お母さんに言われたから」「友達が着け始めたから」「なんとなく」という声も目立った。

■下着を選ぶポイント
 下着を選ぶポイントは「デザイン」が52・0%と多く、次いで「素材」17・0%、「着け心地」18・0%。具体的なデザインについては「かわいい」48・0%、「シンプル」25・0%、「かっこいい」14・0%の順。中学生になると「かわいい」の割合が減り、一方「大人っぽい」「かっこいい」の割合が増している。
 現在着用しているブラジャーの色は「白」が73%と圧倒的に多いが、「ピンク」、「ブルー」「水色」の人気も出始めているようである。

■下着の種類
 主な下着の所持率は「タンクトップ」85%、「キャミソール」57%、「ハーフトップ」18%、「スポーツブラ」49%、「ノンワイヤーブラ」40%、「ワイヤーブラ」16・5%。スポーツブラを着ける前段階であるハーフトップの所持率が低い。ブラジャーの枚数は6〜8枚程度が多い。


保護者結果

■子どもとの会話
 子どもと下着について「よく話す」「話す」と回答している親は30%程度。7割近い親が「あまり話さない」「話さない」と答えている。
 話の内容は、ブラジャーを着け始める時期や選ぶ基準、下着の寿命や体型に合う下着の種類といった相談事から、雑誌や広告を見ながら流行の下着について話している。

■下着の知識
 子ども用の下着について知識や情報が「十分ある」0%、「ある」22%と少ない。
 7割の親が「知識、情報はあまりない」と回答している。子どもたちは下着に関して母親を一番の情報源としているが、多くの母親が十分に知識を得ていないことがわかる。自由記述の中でも「体の成長に合わせた下着の選び方について知りたい」「大人用の下着との違いを知りたい」などの声が多く寄せられた。
 「子どもたちは下着の情報をどこから得ていると思いますか」の問いには、「友達」36%、「雑誌」30%と答えている親が多く「母親」との回答は15%。子どもとの意識差が見られる。また学校で下着の適切な選び方などの指導をして欲しいと考えている親は「とても思う」24%、「思う」47%と合わせて約7割。流行などに左右されずに、身体に合った下着選びなどの指導を望んでいる。また「子どもの下着と健康への影響」への関心は高く、「とてもある」「ある」合わせて8割を超えた。

■下着の選択
 子どもの下着を選ぶ場合は、「子どもに選ばせる場合が多い」34%、「親が選ぶ場合が多い」29%、「相談して決める場合が多い」37%とほぼ同数の割合となった。
 子どもの下着を選ぶ際のポイントは、「素材」36%、「着け心地」31%、「デザイン」20%、「値段」を重要なポイントとしている親は約1割。「素材の安全性や産地について知りたい」「肌にいい素材は何か」といった声も多く寄せられ、子どもと比べてデザインよりも素材重視の傾向が見られる。


養護教諭結果

■生徒からの相談
 「女子生徒から下着について直接相談を受けているか」の設問に「よくある」0%、「ある」6%で、9割以上ほとんどの養護教諭が「ない」「あまりない」と回答している。
 「養護教諭の方から気になって声をかけて指導することはある」「サイズや素材について助言する」「冷えからくる腹痛や生理痛を訴えてくる生徒には下着について話をする」と養護教諭側から必要に応じて助言する程度に留められているようだ。
 また保護者からの相談についても「よくある」0%、「ある」14%で、子どもと比べ若干多いもののあまり相談は受けていない。相談を受けると回答した養護教諭によると、その主な相談内容は「そろそろブラジャーを着けた方がいいか」「初めて着ける時はどんなものがいいのか」という質問のほか、「なかなかブラジャーを着けたがらないので困る」といった悩みも寄せられるとのこと。

■下着の知識
 成長期の身体と適切な下着の在り方について「十分知識がある」と答えた養護教諭は0%。「ある」が31%で、「あまりない」「ない」が7割を占めた。
 「正しいサイズの計り方」「いつ頃から着けるのが望ましいか」「どのようなタイプがあるのか知りたい」といった疑問が寄せられた。

■下着に関する指導
 学校で「下着」をテーマにした指導をしたことが「ある」と答えた養護教諭は36%、「ない」は64%。一方、「下着について学校における指導の必要性を感じるか」には「非常に感じる」8%、「感じる」81%と9割が必要性を実感している。
 下着に関しては、汗の吸収や防寒など一般的な指導は行われているようだが、最近はシャツやタンクトップなどを着用せず、直にYシャツやブラウスを着ている生徒が多いという。
 ブラジャーなど女子用下着については個別での指導が主で、本人から相談があった場合など必要に応じてのみ行われているようである。
 着用時期やサイズなど個人差の大きい下着であることからなかなか一斉指導は難しいのが現状のようだ。「女子用下着については各家庭に任せている」という回答もあった。





(2002年2月9日号より)